東京高等裁判所 昭和41年(ネ)750号 判決
控訴人等は、控訴人ミチの夫にして、且つ控訴人勝己の父でもある亡杉山起雄が戸籍上、父欄の記載なく、亡杉山ノブを母とし、その子として出生した旨の記載がなされているにすぎないけれども、真実は亡増渕安吉(昭和二五年六月二三日死亡)を父として、同人と亡杉山ノブとの間に出生したものであるから、検察官を相手方(被控訴人)として、亡増渕安吉と亡杉山起雄との親子関係存在の確認を求めるものであるが、安吉と起雄とはともに既に死亡しているのであるから、両者間の親子関係は過去の法律関係に属するものというべく、従つてその確認を求める本件訴は所謂確認の利益のない不適法な訴であり、検察官を相手方とする人事訴訟手続法第二条第三項を類推適用すべき根拠をかくというべきである。このことは、身分関係を直接の訴訟物とする訴は民法、人事訴訟手続法等の規定上制限的列記的なものであることが明らかであり、民法第七八七条本文によれば、認知の訴は子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人のみが提起しうるところであり、また同条但書によれば同人らにおいても父又は母の死亡の日から三年を経過したときはこれを提起しえないこと(本件においては、杉山ミチは同条本文により、杉山勝己は同条但書によりいずれも認知の訴を提起しえない)等に徴しても明かである。
(浅沼 間中 柏原)